日本ヘミングウェイ協会
2018年5月 ワークショップ
日時:2018年5月19日(土)10時〜12時30分場所:東京女子大学(東京都杉並区善福寺2丁目6−1)
24号館1階 24101教室
※19日18時頃から会場近辺で懇親会(会費5000円前後)を予定しておりますので、ふるってご参加ください。懇親会への参加については事務局(hemingwayjapan@yahoo.co.jp)までメールでお申し込みください。
締め切りは5月7日(月)です。
■タイトル
「ヘミングウェイに学ぶ創作技法―“The Killers”を読む」■メンバー
司会・講師 中垣恒太郎(専修大学)講師 若松 正晃(福山大学)
講師 岡田 大樹(専修大学(兼))
講師 児玉 晃二(関東学院大学)
■概 要
ヘミングウェイの創作論は、同時代作家から21世紀現在の表現者に至るまで絶大な影響力を持ち続けている。青山南編訳『作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう!(全2巻)』(岩波書店、2015)は、『パリ・レヴュー』(The Paris Review, 1953- )に掲載された、ジョージ・プリンプトンによるヘミングウェイ自身(1958年)へのインタビューを含む1950年代から21世紀におよぶ計22の作家によるインタビューを選出したアンソロジーであるが、作家が創作について語るとき、ヘミングウェイはその準拠枠として常に用いられている。この系譜は、筒井康隆『創作の極意と掟』(2014)、村上春樹『職業としての小説家』(2015)から、マンガ家の『荒木飛呂彦による漫画術』(2015)まで継承されている。また、近年注目されている「アダプテーション」の概念理論からも、とりわけ視覚文化の表現者たちがヘミングウェイの作品世界から創作の源を得ていることも注目に値する。「映像の詩人」と称されたアンドレイ・タルコフスキーが全ロシア国立映画大学在学中に同級生たちとヘミングウェイの“The Killers”を翻案した20分ほどの短編映画(1956)を手がけている。影や鏡を用いた技巧、会話表現など後に開花するタルコフスキーの表現技法の萌芽を見出すことができる初期作品として研究者の評価も高い。さらに先行する“The Killers”の翻案映画作品となるロバート・シオドマク監督版(1946)も、「フィルム・ノワール」のジャンルを代表する位置づけであり、「ナタラージュ」と呼ばれるナレーションとモンタージュを合成した概念による独特の手法が効果的に用いられている。あるいは、イラストレーター・絵本作家、佐々木マキの初期漫画作品として、同じ“The Killers”の翻案となる「殺人者(ヘミングウェイによる)」(1968)が雑誌『月刊漫画ガロ』にて発表されている。先鋭的な手法に自覚的な他のメディアの表現者にとっても、ヘミングウェイの作品が自身の手法を育んでいく上で道標となってきた。
このような同時代および後世の多様な表現者が現在に至るまで参照し続けているヘミングウェイの創作技法の系譜を踏まえた上で、本ワークショップでは、“The Killers”の作品講読研究を展開する。1926年5月16日、女性をめぐるわずらわしい問題から逃げるようにして旅に出たヘミングェイがマドリードの小さなホテルにてわずか一日で書き上げたとされる“The Killers”は、Scribner’s Magazine(1927年3月号)に発表され、第3短編集Men Without Women (1927)に収録されている。
「ヘミングウェイに学ぶ創作技法」というテーマを掲げ、ヘミングウェイの「氷山理論(省略技法)」やハードボイルドの手法に至る着想と発展、会話表現、人物の心情、視点や時間の技法、ニック・アダムス連作としての位置づけ……など様々な観点から再検討を試みる。多彩な表現者たちがヘミングウェイの創作論、創作技法からどのように学び、どのように創作のインスピレーションを得てきたのか。さらに21世紀の今現在、創作をめぐる現場においてヘミングウェイはどのように有効でありうるのであろうか。
ヘミングウェイ研究者、同時代作家のFaulkner研究者、現代アメリカ文学研究者・翻訳者の観点から、それぞれ若松正晃氏、岡田大樹氏、児玉晃二氏に、作品講読に根差した論点を自由に提起いただき、登壇者およびフロアを交え、様々な観点から作品を吟味検討してみたい。多くの表現者がその斬新な手法に感銘を受け、創作のインスピレーションを得てきたこの短編作品を軸に多彩な研究の観点を交錯させ、さらに、創作表現、創作教育の可能性までをも展望することにより、ワークショップならではの人文学研究の饗宴を目指したい。
多くの方々のご参加を心より歓迎します。
■東京女子大学への主な交通機関
<JR「西荻窪」駅から>JR「西荻窪」駅(JR中央線、JR中央・総武線、東京メトロ東西線乗入)
・ 北口より徒歩12分
・ 北口(1番のりば)より関東バス・西10・吉祥寺駅(北口)行バスで「東京女子大前」下車
※ 中央特快、通勤快速、通勤特別快速は西荻窪駅には停車しません。
※ 土・日・祝日は中央線快速が西荻窪駅には停車しません。中央・総武線各駅停車または東京メトロ東西線乗り入れをご利用ください。
<JR「吉祥寺」駅・京王「吉祥寺」駅から>
JR「吉祥寺」駅(JR中央線、JR中央・総武線、東京メトロ東西線乗入)
京王「吉祥寺」駅(京王井の頭線)
・ 北口(3番のりば)より関東バス・西10・西荻窪駅行バスで「東京女子大前」下車すぐ
※ JR中央特快、JR通勤特別快速は吉祥寺駅には停車しません。
<西武「上石神井」駅から>
西武「上石神井」駅(西武新宿線)
・ 南口より関東バス・西02・西荻窪駅行バスで「地蔵坂上」下車 徒歩5分